「公共ビジネスの着眼点」 補助金申請システムの障害に見るビジネスチャンス

 

1都2府1県に緊急事態宣言、7県に蔓延防止等重点措置が実施され、列島全体を自粛ムードが覆うGWのど真ん中である5月1日。経済産業省は自省が担当する、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う補助金申請システムにおいて、障害が起きていたと発表しました。

『補助金申請システムで障害 経産省中小支援、期限延長』

 障害が起きたのは本コラムでも過去に取り上げた「事業再構築補助金」の申請システムです。コロナ禍を機に業態転換に取り組む中小企業などを支援する補助金ですね。
 とはいえ、すでに障害は復旧しており、同省はアクセスの集中が原因だったとみているそう。そして経産省はこのトラブルを受けて、当初は4月30日までとしていた第1回の申請期限を、5月7日午後6時まで延長したとのことです。

 以前も紹介したとおり、もともと本補助金は政権の目玉とも言える注目の政策でした。それだけに反響は大きく、予想を超えて申請があったとういうことなのでしょう。
 現在に至るまで、行政の各種申請手続きは、特に補助金・助成金申請の領域では、紙によるアナログな方法が大半です。ITインフラの整っていない小規模事業者や個人事業主が対象となるため、というのがその理由です。しかし、それだと申請書類のチェックや報告書類のチェック等、あらゆる工程に人間の手を介在させる必要があります。そのうえでヒューマンエラーを防止させようとすると、二重、三重に人手がかかるため人件費が嵩み、最終的に交付に至るまでの時間もかかるのです。

 このように、補助金や助成金の交付に時間がかかることは、従来から大きな課題の一つでした。そこで、近年は徐々に行政手続きのデジタル化が進んでいました。その動きを一気に加速させることになったのが、今回のコロナ禍なのです。
 実はこの補助金も、申請に伴う各種手続きをすべてデジタルで行うという、挑戦的な取り組みをしていました。そう考えると少々トラブルは起きたとはいえ、行政が重い腰を上げ、小さからぬ一歩を踏み出した案件と言えるでしょう。

 とはいえ、行政のデジタル化は、民間と比べてまだはるかに遅れていると言わざるを得ません。これは、逆に言うとこれから伸びていく領域であり、ビジネスチャンスも大きいということ。AIやビッグデータ等、最新技術の活用も期待されています。民間で蓄積した技術や実績を活用して、行政のデジタル化案件を取りにいく。当社ではそんな企業を応援したいと思います。