「公共ビジネスの着眼点」 衆議院議員選挙の日程が決まりました

 周知のように岸田文雄前政調会長が自民党新総裁に選出され、第100代内閣総理大臣に就任しました。
 その後、衆議院選挙の日程も決まりました。現在、開催されている臨時国会の会期が10月14日(木)まで。その最終日に岸田総理大臣が衆議院解散を宣言し、その5日後の19日(火)に公示。10月31日(日)投開票、となります。

 過去、首相就任から解散までの期間が最も短かったのは、1954年12月10日就任、55年1月24日に解散した第1次鳩山内閣の「45日」でした。今回は就任のわずか10日後に解散。総選挙までも1カ月足らずという、かつてない短期決戦になります。この選挙スケジュールの設定により、臨時国会は新首相の所信表明演説および各党の代表質問に留まり、予算委員会での本格論戦は総選挙後に持ち越しとなる公算です。

 岸田新総裁がこの選挙日程に決めた理由は、大きく3つあると言われています。
 ひとつは新総裁誕生による「支持率のご祝儀相場」が冷めないうちに、総選挙を戦いたいという考え方。総選挙直前に注目度が増す国会論戦で、自身も含めた閣僚たちのネガティブな情報が拡散されることを避けたい、という思いです。実際のところ就任直後の内閣支持率は、菅前総理時代と比較してある程度は回復しています。ただし、過去の多くの内閣の船出と比べると、厳しい数字が出ているのが現状です。

 もう一つは、自公政権に対抗する野党側が、各小選挙区で「与党 対 野党」で1対1の構図を作ろうと共闘体制を進めている中で、少しでもその体制が整わないうちに選挙をしてしまいたい、という狙いです。与野党1対1の構図がしっかり作れれば与党議員を(小選挙区の)落選に追い込める選挙区は、実は全小選挙区の過半数を超えています。野党側がどこまでこの構図を作れるかが、今回の選挙の最大のポイントと言えるでしょう。

 最後はコロナ関連です。新型コロナの感染拡大が、与党の支持率に対して不利に作用することがわかっているので、それが落ち着いているうちに選挙をしてしまいたい、という思いもあるでしょう。

 この日程の前倒しを受けて、与野党ともに選挙戦に向けて、マニフェストなどの作成に追われることになります。各候補者の選挙事務所も、チラシやポスターほか、街宣日程の作成など、選挙準備などに追われることになります。
 さらに選挙事務を司る地方自治体は、短期間での準備を余儀なくされることになりました。新型コロナの感染拡大によって行政の負荷が増大している中で、ここまで短い準備期間の短い選挙戦は過去にも例はなく、混乱は避けられないかもしれません。

 いずれにしても、コロナ禍以降の日本の行く末を占う重要な選挙となります。岸田新総理が表明した経済政策の方針は、これまでのアベノミクス的な成長戦略からは一線を画するものになっています。今後も、与野党からどのような将来ビジョンや政策が打ち出されるのか、注意して見ていきたいと思います。