「公共ビジネスの着眼点」 米国の大規模な財政出動は日本の衆院選に影響を与えるか

米上院にて、超党派によるインフラ法案が提出されました。

米上院の超党派インフラ法案、近く採決へ--ブロードバンド整備にも多額の投資
https://japan.cnet.com/article/35174704/

米インフラ包括法案、週内の上院採決に向け前進
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-01/QX6DB0DWLU6B01

 この法案では、道路や橋の整備、電力網の向上、鉄道の他にも、すべての米国民にブロードバンドアクセスを提供する巨額投資として650億ドルが計上されています。また、水道の改善で550億ドル、公共交通機関の整備で390億ドルも提供。総額は5500億ドル(約60兆3200億円)にも上り、まさにここ数十年で最大の連邦インフラ支出となります。
 交渉に関わった共和党のコリンズ上院議員と民主党のマンチン上院議員は、同法案が上院で幅広く支持されると見込んでいると述べました。

 もっとも、法案の詳細を巡って共和党から批判も出始めており、スムーズに本法案が成立するかは予断を許さない状況です。

米超党派インフラ法案、上院共和党から早くも批判
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-infrastructure-idJPKBN2F402K?feedType=RSS&feedName=special20

 もともとトランプ政権下では、コロナ禍における大規模な金融緩和および財政支出政策が講じられてきましたが、バイデン政権下においても大規模な公共事業が構想されているのは、興味深いところです。

 このような大型公共事業を日本で行おうとすると「ハコモノ行政」や「無駄遣い」と言われがちです。有事の際にこういった思い切った政策を打てるのは、アメリカの強みだと言えるかもしれません。

 日本政府もすでにコロナ禍における特別予算として、大幅に増額された財政支出を実行しています。しかし、オリンピック開催と急速に拡大するコロナ禍の混乱に苦しむ自民党政権では「支持率浮揚を果たす」というのは喫緊の課題であり、秋の衆議院選に向けて、こういった動きを参考にする可能性はあるかもしれません。  与野党ともに政治不信が大幅に強まっている現状で、衆議院選挙においてどこまで信頼性の高い「思い切った公約」が打てるのか。今後も注目していきたいと思います。