「公共ビジネスの着眼点」 概算要求が昨年より大幅に増えている事業に注目してみよう

 前回の記事で概算要求について触れましたが、少しずつ具体的な情報が報道されはじめています。

デジタル庁 システム整備などに5400億円余の概算要求
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210825/k10013221351000.html
脱炭素化政策に7542億円 経産省の概算要求判明
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210825/mca2108250544003-n1.htm

 もともと挙げられていた方針通り、デジタル化推進や脱炭素といった旬な政策テーマに、今後も重点的に予算を投下しようという傾向が見られます。その中でも注目したいのがこちらの情報です。

「地域おこし協力隊」予算3倍に コロナ禍、移住支援――総務省概算要求
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021082000695&g=soc

 地域おこし協力隊とは、都市部から人口減少や高齢化の著しい地方に移り住み、地域協力活動を行う人々を支える制度です。採用された方はおよそ1年から3年、地方自治体の委嘱を受けてその地域で生活し、各種の地域協力活動を行います。対象者には自治体および活動内容次第で活動費が出るのですが、予算の多くはここに付けられる形となります。

 もちろん、以前から東京への一極集中は大きな課題と言われていました。コロナ禍を受けて、その弊害はより深刻化しつつあります。さらには同じくコロナ過を受けて、都市部での就労環境にこだわることなく「リモートワーク」もしくは「ワーケーション」という形で、地方での働き方を模索しようという人々も増えています。これらの流れが、今回の要求の背景にあると思われます。

 なお、地域おこし協力隊に関する昨年度(つまり今年度実施済、または実施予定)の概要要求は、こちらの14ページに載っています。

令和3年度 総務省所管予算の概要
https://www.soumu.go.jp/main_content/000742163.pdf

 隊員のなり手を確保するための制度周知や、隊員、自治体担当者職員双方への研修、地方公共団体と企業のマッチング機会の提供など、さまざまな項目があります。

 来年度もこれらの事業は継続されるでしょうが、概算要求が3倍増という予算規模を考えると、新たな事業も加わるはずです。その詳細が現時点ですべて決まっている、ということもないはずです。つまり、みなさんの会社が有するリソースを活用して協力隊の数を増やせるような事業がイメージできるのであれば、自治体や関連団体に提案してみる価値はあります。
 自らのアイデアが、社会課題解決に向けた事業となる。公共ビジネスに携わる醍醐味を、みなさんも味わってみてはいかがでしょうか。