「公共ビジネスの着眼点」 子ども庁の創設に向けて動き出しました

 岸田政権が、こども関連法案の司令塔となる「子ども庁」の創設に向けて動き出しました。来年の通常国会に、子ども庁創設の法案を提出する方針を固めたそうです。
 https://jp.reuters.com/article/idJP2021110201001247

 少子化対策は、もともと国家の最重要課題です。日本の合計特殊出生率は戦後下がり続け、1971年~74年の第二次ベビーブームで一度盛り返したものの、そこを頂点に下がる一方。ここ数年は踏みとどまっていたものの、2019年には1.36と、ここ10年でも最低の記録となっています。岸田政権はこの問題に対して、少子化担当相として野田聖子氏を起用するなど、重要視する姿勢を見せています。その象徴のひとつとなる新組織が「子ども庁」です。

 本来、子ども庁は虐待など複雑化する課題に総合的に対処するため、複数の府省庁にまたがる子供関連の政策司令塔として生まれたはずの新組織です。その設立意義から、官公庁で悪名高い「縦割り行政」を排除する省庁として、内閣府に置かれると予想されていました。省庁の縄張りを越え、子ども行政の司令塔となる役割を期待されていたはずです。

 しかし、今回の報道によると、子ども庁の担当業務から、文部科学省の分野が除外されるということです。子ども庁から教育行政の分野が除外されるとなると、その担当業務のボリュームはかなり限定的になるでしょう。もしかすると、厚生労働省の外局という扱いになるかもしれません。

 公共ビジネスの観点から見ると、新組織の業務の幅が狭まることは、決して喜ばしいことではありません。新組織の立ち上げはその業務ボリュームに伴ってさまざまな事業が生じ、それに合わせた予算措置が期待されるためです。

 とはいえ、岸田内閣で子ども政策を担う新たな組織が生まれることは間違いありません。当然、新たな政策を打ち出す必要性があり、公共ビジネス市場にとっては「何らかの予算措置は期待できる」ということです。

 おそらく、まもなく開催する特別国会は、首班指名と所信表明、各野党による代表質問が中心となるでしょう。来年の通常国会以降の動きも、引き続き注視していきたいと思います。