「公共ビジネスの着眼点」 過去最低水準の採択率、事業再構築補助金(第12回公募)の採択結果から見えてくる国の政策の力点

令和6年11月8日に事業再構築補助金第12回公募の採択結果が公表され、公募採択率26.5%(応募7,664件、採択2,031件)と、前回の第11回公募に引き続き厳しい採択結果となりました。

#事業再構築補助金事務局ホームページ「採択結果」
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.html

新型コロナウイルスの影響による業況悪化から文字通り事業を「再構築」することを目的として令和2年度から始まったこの補助金ですが、概ね45~50%程度で推移していた採択率が前回の第11回公募以降26.5%と激減しています。

第11回公募は、国の令和5年秋の行政事業レビューで事業再構築補助金に厳しい意見が相次いだ直後の公募回だったことから、審査が厳格化し採択率が急低下したと言われています。

それを受けて、今回の第12回公募の採択結果に注目が集まっていましたが、第11回公募と同じく26.5%と過去最低の採択率となりました。

新たなチャレンジに大きな投資が必要となる事業者の方々にとって頼もしい味方になり得る補助金ですが、事業再構築補助金に限らず、採択率が低すぎる補助金にはなかなか挑戦しづらい気持ちになります。

しかし、補助金の申請要件や採択結果から国が補助金に込めた思いや政策の方向性を読み取ることで、採択率に一喜一憂することなく、効果的に補助金を利用することが可能です。 

事業再構築補助金を例にとって少し掘り下げてお話していきます。

まず、国や自治体が公募する補助金には、申し込むための要件が異なる「枠」や「類型」などと呼ばれる複数のコースが存在する場合が多いです。

事業再構築補助金(第12回公募)であれば、「通常類型」という一般的なコースのほかに、「コロナ回復加速化枠」、「GX(グリーントランスフォーメーション)進出類型」といったように全部で5つのコースが用意されています。

これらのコースの設計やコースごとの採択結果には、国が力点を置く政策や、手厚く支援をしていきたい分野に関するメッセージが隠されています。

例えば、脱炭素社会の実現に取り組む企業が申し込むことができる「GX進出類型」は、国が「2050 年カーボンニュートラルに伴う グリーン成長戦略」を取りまとめ、脱炭素社会の実現に本腰を入れ始めた令和3年度に新たに事業再構築補助金に組み込まれたコースです。(※当時の名称は「グリーン成長枠」)

#経済産業省HP「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

また、製品の生産拠点を海外から国内に回帰するケースで使える「サプライチェーン強靭化枠」は、ウクライナ問題などによる国際情勢の不安定化から海外の生産拠点を日本国内に回帰させる機運が高まっていた令和4年度に新設されました。

このように、補助金の制度設計では、その時の社会経済課題の解決に繋がる分野に国がタイムリーに資金を投入していく姿勢が表れていることが読み取れます。

そして、採択率に目を向けると、第12回の採択結果では、「GX進出類型」と「サプライチェーン強靭化枠」の2つの枠で採択率が40%前後と、全体の26.5%よりも高い数値が出ています。逆に、テーマ性の低い類型やコロナからの回復を支援する枠は採択率が低く出ています。

実は、少し前までの公募回では、一般的なコースやコロナからの回復といったテーマでの申請で採択率の方が高く出る傾向にあったのですが、ここへ来て採択率が逆転する傾向にあります。

こうした結果から、新型コロナによる業況悪化や、コロナによって変化した社会経済に対応するための事業再構築に対する支援は一巡し、個別の重要政策に関連する事業への支援を手厚くしていくという国の姿勢の変化を捉えることができます。

このように、補助金には行政の「意図」や「思い」が込められています。補助金を単なるバラマキと捉えて、お金の獲得そのものを目的に手を出すのではなく、事業者側も「思い=解決したい課題」をもって、その解決手段を獲得するために補助金を活用する、という姿勢が重要です。

行政の思いと事業者の思いが一致したときに、採択の可能性はグッと高まり、真に補助金を有効活用することにもつながるのではないでしょうか。

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