「公共ビジネスの着眼点」 生産性向上を支援する新組織が47都道府県に設置されます

全国的な最低賃金引き上げを受け、経済産業省は、賃金増の負担が増す中小企業の生産性向上を支援するための新組織を全国47都道府県に設置すると発表しました。

#時事通信社2025.9.9付「中小賃上げへ47都道府県に新組織 生産性向上を支援―経産省」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025090900908&g=eco

#読売新聞2025.9.9付「最低賃金上昇、中小企業の経営効率化を支援へ…経産省が全都道府県に新組織」
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250908-OYT1T50221/

記事によれば、新組織は「生産性向上支援センター(仮称)」で、飲食や宿泊、小売りなど経営効率化の余地が大きい業種を主な支援対象とし、新年度の4月から稼働する予定とされています。

○新組織が設置される「よろず支援拠点」とは

生産性向上支援センターは、各都道府県にある「よろず支援拠点」に設置されるようです。よろず支援拠点とは、中小・小規模事業者等が「無料」で「何度でも」相談が可能な公的支援機関で、全国の都道府県に1箇所ずつ設置されています。

よろず支援拠点には、中小企業診断士をはじめ様々な士業や企業経営者が相談員として在籍し、「よろず」の文字通り地域の中小・小規模事業者の幅広い相談にワンストップで対応できることが特徴です。

○生産性向上センターはどのような組織体制になるのか

新組織は、よろず支援拠点の内部部署のようなイメージで、生産性向上支援に特化した組織として新設されるようです。令和8年度の中小企業関係の概算要求では、よろず支援拠点の関連予算が令和7年度の34億円から大幅に増加となる80億円計上されています。

#令和8年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r8/gaisan_point.pdf

診断士をはじめとした専門家を数百人規模で確保するとの情報もあることから、予算増加の大部分は、センターの設置による大幅な人員増加にかかる人件費と予測でき、診断士にとっては、センターでの業務受託を通じた公共ビジネス参入の大きなチャンスとなりそうです。

○生産性向上支援センターの役割から見るビジネスチャンス

生産性向上支援センターでは、その名の通り企業の生産性を向上させることを目的としており、その結果として中小・小規模事業者の賃上げを広げていくことが国の狙いとしてあるようです。

中小企業支援の分野で生産性は「付加価値額÷労働投入量」とされることが多いため、生産性向上支援センターは支援先企業の「付加価値額の向上」と「労働投入量の低下(最適化)」を数値目標として活動していくことになると予想できます。

つまり、労働投入量の低下(最適化)に繋がるような業務の省力化・自動化・デジタル化や、従業員のスキルアップや作業効率化などに取り組むとともに、改善効果によって発生するリソースを使ってさらに付加価値の高い業務に取り組むなど収益拡大も叶えていくといった、生産性の構成要素をダブルで向上させる支援に貢献できる人材が求められると考えられます。

だからといって、労働投入量の低下から付加価値額の向上まで全てを一手に請け負えるスーパーマンしか生産性向上支援センターで活動することができないかというと、そんなことはないと思われます。

近年よろず支援拠点では複数の相談員が得意分野を活かして支援にあたえるチーム支援に力を入れており、生産性向上支援センターでも相談員が専門知識を持ち寄って支援するスキームで支援にあたることが十分に予想できます。

例えば「デジタル化に特化した支援を得意とする診断士」のように、企業の生産性向上に繋がる要素の一部分でも伸ばすことができるスキルを持っていれば、生産性向上支援の専門家としてこのビジネスチャンスを掴むことは十分可能でしょう。

生産性向上支援センターでの業務をきっかけに、他の公的支援機関や行政本体との仕事などを獲得し、公共ビジネスの分野にさらに深く入り込んでいくこともできるかもしれません。

センターについては、来年4月の稼働に向けて今後続々と新たな情報が発表されることが見込まれます。診断士のビジネス拡大に繋がる大きなトピックとして、今後の動向に是非注目してみてはいかがでしょうか。

 

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