「公共ビジネスの着眼点」 注目の新補助金「中小企業新事業進出補助金」の公募が始まりました
2025年4月22日に「中小企業新事業進出補助金」の公募が開始されました。昨年度に終了した「事業再構築補助金」の後継として注目されている大型の補助金です。
#新事業進出補助金ホームページ
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp
事業再構築補助金は、2021年に「ポストコロナの事業再構築支援」として創設され、最大1.5億円という大規模な補助金額が注目を集めた一方で、補助金事務局を政権に近いと言われる大手人材派遣会社が担ったことや、国の行政事業レビューで補助金のあり方そのものに有識者から厳しい意見が相次いだことなど、様々な課題を抱えながらの制度運用となったことも話題を呼びました。
そんな事業再構築補助金の後継と言われる新事業進出補助金では、再構築補助金と比べてどのような変更点があるのでしょうか。
○事業再構築補助金との相違点
補助金を活用しようとする中小企業にとって最も大きな違いとなるのは補助金額と補助率でしょう。
新事業進出補助金では、事業再構築補助金のように細かな申請枠は無く、枠は一本化されており、従業員数に応じて最大2,500~7,000万円(賃上げ特例の適用で3000~9,000万円)が補助されます。事業再構築補助金の最も一般的な申請枠「成長分野進出枠(通常類型)」と比較すると従業員規模に応じて補助金額が1,000~1,500万円増額されている一方で、事業再構築補助金のような補助額1億円を超えるような申請枠は無くなっています。
一方で、補助の下限額の設定が厳しくなっており、事業再構築補助金では100万円だった下限が750万円まで引き上げられました。また、補助率は2/3から1/2へと引き下げられており、補助金の性格がコロナ禍での「緊急対応」から「中長期的成長支援」へと変わったことを表していると言えるでしょう。
再構築補助金では、高い補助率での補助金を受けた企業が、設備を導入しただけで売上につながらない事例や、補助金依存で破綻するケースもあったことから、その反省を活かし、補助金利用にあたって企業の自己負担能力と投資判断の成熟性を問う制度へと政策をアップデートしたということかもしれません。
短期的な業績回復を目的とするのではなく、企業体質の強化・成長市場への進出を本気で狙う中小企業にとっては有力な支援策となりそうです。
中小企業診断士としては、この補助金が中小企業にとってどの程度使い勝手のいいものになりそうなのか、事前にリサーチしておくべきでしょう。
○公募要領以外から読み取るべきポイントとは
以前のコラムでテーマに挙げましたが、補助金に関する重要な情報は公募要領以外の資料から読み取ることが重要です。
#『「公共ビジネスの着眼点」重要な情報は公募要領以外に隠れている?補助金申請で押さえておくべきポイントとは』
新事業進出補助金の事務局公募要領を確認すると、今回の補助金の公募は令和8年度末までに4回程度、採択予定件数は6,000件程度とされています。
#「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領
https://www.smrj.go.jp/procurement/solicitation/pg85um0000005qk3-att/20250116_kobo01_01.pdf
また、中小企業基盤整備機構の「新事業進出補助金システム要件定義書」では、「応募事業者は約 10,000 者/公募回を想定する。」「交付採択事業者は約1,500者/公募回を想定する。」とされています。
https://www.smrj.go.jp/procurement/solicitation/rvuad10000024lu8-att/20241205_kobo01_04.pdf
これらを併せて読み解くと、新事業進出補助金では、応募事業者数が想定どおりであった場合、各公募回の採択率が15%程度と予測ができます。
これは、非常に厳しいと言われていた事業再構築補助金の終盤の採択率26%程度をさらに下回るものであり、ものづくり補助金の30~40%程度と比べても、ハードルの高い補助金になることも予想されます。
このことから、中小企業診断士としては、新事業進出補助金を事業再構築補助金の単なる延長と捉え、気軽に活用を勧めることには慎重になるべきかもしれません。少しでも採択の可能性を上げるために、真に補助金の趣旨に沿う投資内容でチャレンジできる案件を選別する力が求められるとともに、企業の投資能力にも着目し、活用の是非を本気で考える姿勢が大切になってくるでしょう。
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