「公共ビジネスの着眼点」 来年度の各省庁の政策概要が分かる「概算要求」が公表間近です

 概算要求が公表される時期が近づいてきました。

資料:令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2022/sy030707a.pdf-

 概算要求とは、各省庁が政策を実施するために必要な経費を要望書にまとめ、予算を所管する財務省に送付することをいいます。たとえばエネルギー関連ならば、経済産業省、国土交通省、環境省など複数の省庁から出されます。この概算要求に戻づいて財務省は「概算査定」を実施し、財務省原案(財務省の概算戦略案)が閣議に提出されます。内閣ではこれを基に「予算案」を作成して閣議決定し、それを国会の議決にかける形となります。

 概算要求では事業項目に加えてその規模感や性質は「2021年度当初予算と比較して+〇〇億円」「新規」「継続」などと表記されます。この概算要求から、その省庁の来年度の政策や予算の傾向が見えてきます。

 一昨年はコロナの影響もあり、概算要求の期限は9月末でしたが、昨年から例年通り8月末の期限となっています。提出されたのちは、財務省折衝、予算案の国会提出、可決となり成立されますが、提示された予算の大枠が変わることは、基本的にありません。

 概算要求は、各省庁のホームページ上にすべて公開されています。特に分かりやすいのがPR資料でしょう。
※参考例
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2023/pr/ip/chuki_02.pdf
https://www.maff.go.jp/j/budget/pdf/r5yokyu_pr45.pdf
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/23syokan/dl/gaiyo-08.pdf

 PR資料には、政策の概要、予算規模、実施体制、担当部局といった要素がわかりやすくまとまっています。たとえば最初の資料では「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」に関する概算要求について書かれておりますが、その規模感や事業内容に加え、上流から末端に至るまでの「事業の流れ」などもすべて記されています。

 公共ビジネスに携わる事業者はこれらの情報を読み解き、受注に向けた準備を行っていきます。来年度の政策の大局を把握したい人、または事業計画立案のためのヒントとなる情報が欲しい人、官公庁向けとなる営業の切り口として利用したい人は、決定された予算(もしくは暫定予算)の前に、この概算要求から注目して情報を仕入れておくことが鉄則です。
 来年度もコロナ禍が収まるとは言えないなか、各省庁がどのような政策を打ち出してくるのか。私たちも注目していきます。