「公共ビジネスの着眼点」 最賃平均50円の引上げ、岸田政権が賃上げにこだわる理由
最低賃金が10月から50円ほど引き上がるようです。
一部の労働者に恩恵がある一方で、多方面に影響がありそうです。
#産経新聞 2024.7/25付
最低賃金引き上げ、中小企業には負担重く 大手の価格転嫁がカギ
https://www.sankei.com/article/20240725-SRXL5JI5MBLCHD3IC434YNCCLY/
#厚生労働省 最低賃金制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-09.htm
最低賃金とは、最低賃金法に基づいて規定される賃金で、労働者が生活していくうえで必要最低限の賃金(時給単価)を規定することで、生活の安定を図ることが目的の制度です。
最低賃金の引上げ幅は、国の中央最低賃金審議会(目安小委員会)で、その目安が示されたのち、地域(都道府県)ごとに労使の議論を経て決定されることとなっています。
今年は、7月下旬の中央最低賃金審議会において全国平均で50円の引上げが妥当とされました。全国平均1,004円だったところ1,054円となる予定です。
実際には地域ごとの物価などを加味して決まるため、都道府県によって引上げ幅に多少の差があります。
※(参考)最低賃金の引上げスケジュール
・7~8月:厚労省中央最低賃金審議会(目安小委員会)で、今年の最低賃金の目安(引上げ額の目安)を決定
・8~9月:都道府県ごとの最低賃金額を決定
・10月:新しい最低賃金額の適用
●今後の最低賃金の動向
今後の最低賃金の動向も押さえておきます。
岸田政権は、目標として「2030年代半ばまでに最低賃金1,500円を目指す」という方針を掲げています。
これは毎年50円ずつ最低賃金を引き上げる計算のため、今後の最低賃金も大幅引き上げの方向性で間違いなさそうです。
建前上では、最低賃金は労使の協議で決まることとされていますが、実際には国の意向、特にその時の政権の意向に大きく影響を受けると言われています。
では、今の政権の岸田政権が大幅な賃上げを推奨する狙いは何でしょうか?
●岸田政権が賃上げにこだわる理由
岸田政権が賃上げにこだわるのは、政権として「成長と分配の好循環」、特に「分配政策」を重要な政策方針として掲げているためです。
「成長と分配の好循環」というのは、企業が儲かったときに、労働者の給料や次の投資に適切に分配してくれれば、そのお金で世の中の消費が増え、それがまた次の企業の儲けに繋がるはずだ、という自民党の考え方です。
ちなみに「成長と分配の好循環」という言葉は、安倍・菅政権でも掲げていた政策方針で、新しい言葉ではありません。ただ、安倍・菅政権と岸田政権には明確な違いがあります。
安倍・菅政権が重視したのは「成長政策」で、先に企業を儲けさせることで、結果的に従業員にも儲けが分配され、消費が増えるはずだ、という考え方です。うまくいった側面もありますが、分配がうまくいかず、企業の内部留保が過去最高になってしまった、という批判を浴びたのは記憶に新しいことと思います。
一方で、岸田政権が重視したのは「分配政策」です。これは、先に企業が従業員や下請会社にちゃんと儲けを分配してくれれば、そのお金で消費が喚起され、結果的に企業が儲かるはずだ、という考え方です。大企業と下請け会社の分配については取引適正化という言葉を使っています。
似たようなことを言いながらも、最初に何を重視するかによって、政府として力を入れる政策も大きく変わります。
岸田政権は、分配政策を重視しているため、重点政策に「賃上げ」や「取引適正化」「価格転嫁」などのワードが並びます。
これらは労働者、つまり「人」を重視する政策でもあるため、さらに「人材育成」「リスキリング」「労働移動」などのワードも並ぶことになります。
このように、時の政権の考え方が分かってくると、どういう政策がなぜ優遇されているのかがよく理解できると思います。
官公庁の担当者とのコミュニケーションも円滑に進めるためにも、押さえておきたい事項ではないでしょうか。
※なお、次の自民党総裁選では、岸田首相は続投しない意向を示しています。次の自民党総裁がどのような考え方を持っているのか、注視していきたいところです。
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