「公共ビジネスの着眼点」 地方自治体の民間提案制度とは?ビジネスの可能性は?

行政と民間事業者が連携して公共サービスを提供する「官民連携」の取組みとして、民間提案制度を取り入れる地方自治体が増えているようです。

#南海日日新聞 2024.5/2付
https://www.nankainn.com/news/gvmnt-admin/%E5%85%AC%E5%85%B1%E6%96%BD%E8%A8%AD%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E5%8B%9F%E9%9B%86%E3%80%80%E6%B0%91%E9%96%93%E6%8F%90%E6%A1%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%82%92%E5%B0%8E%E5%85%A5

○「民間提案制度」とは

民間提案制度とは、民間事業者のアイデアやノウハウを活用して自治体の経営改善や地域課題の解決に繋げる取り組みのことです。

公共サービスは長らく行政主導での発注が主流でしたが、近年、自治体ではお金も人も不足がちのため、企画段階から民間事業者に関わってもらうことで、民間の発想やリソースを使った魅力的なサービスを提供したいという自治体の思惑があるようです。

また、行政が自ら挑戦的な事業を企画することは、行政内部の了解や議会・一般市民からの理解を得ることが難しく、立案に二の足を踏むケースが多いですが、民間からの提案であれば少々チャレンジングな取組みでも周囲に受け入れられやすいという側面もあるのだろうと思います。

この民間提案制度は、入札資格がなくても参画できる自治体が多いことも特徴で、ケースによっては入札よりも容易に公共ビジネスに参入できる可能性があります。

○民間提案制度の種類

民間提案制度は、大きく「テーマ型」と「フリー型」の2種類があります。

「テーマ型」は、自治体によっては「課題設定型」などとも呼ばれ、自治体が設定したテーマや課題に対して、民間事業者が解決策を提案します。

例えば、閉校してしまった学校などの未利用の公共財産の利活用や、地場産品の魅力発信などのテーマが目立ちます。

一方で、「フリー型」は、「自由提案型」などとも呼ばれ、テーマを定めず、自治体のあらゆる課題に対して自由に提案できることが特徴です。

#東京都町田市 「町田市民間提案制度 提案募集開始のお知らせ」
https://www.city.machida.tokyo.jp/jigyousha/minkanteianseido/theme.html

#千葉県船橋市 「民間提案制度 【提案受付ページ】」
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/keikaku/003/p113072.html

県や政令指定都市、中核市など規模の大きい自治体では「テーマ型」と「フリー型」の両方を募るケースも増えてきているようですが、小規模な自治体では、まずは取り掛かりやすい「テーマ型」を導入し始めている段階にあり、今後は提案の自由度が高い「フリー型」の導入が広がりを見せていく可能性がありそうです。

○提案した取組みに予算はつくのか?

民間提案制度では、「原則、自治体に新たな財政負担が生じないこと(既存予算の枠内で対応できること)」という条件で提案を受け付けていることが多いようです。

追加コストが発生するような新しい取組みを提案してほしいというよりは、今ある課題や取組みをより低コストで効率的に解決するアイデアが欲しいといった意図があるのでしょう。

このため良い提案であっても、まったく新しい提案の場合は、既にある予算の範囲内でしか採用されないため、提案側も控えめな提案をしがちです。

こういった現状を踏まえ、最近ではアイデアを採用した事業者との随意契約を約束する仕組みの導入や、投資回収やトータルコストの縮減が見込まれる提案には新規の予算措置を前向きに検討するなど、自治体側でも提案のモチベーションを下げない工夫を始めています。

○民間提案制度を使ったビジネスの可能性

行政に人材や資金が整っていた時代には、行政の課題は行政内部の人的・資金的なリソースを使って解決していけばよかったのですが、人口減少による税収の低減や、行財政改革による職員定数の削減に近年の深刻な公務員離れも相まって、自治体内部のリソースは不足しがちです。

こうしたなかで、民間提案制度の広がりは、民間のスピード感やコスト意識を行政経営に活用することに自治体が本腰を入れ始めたことを表しているのではないでしょうか。

その裏付けとして、民間提案制度を取り扱う官民連携専門の部署を新しく設置する動きが自治体で加速しています。その多くでは、民間事業者との「対話」から取り組み始めている段階にあります。

まずは話を聞かせてほしい自治体と、公共ビジネスに関わっていきたい民間事業者の双方のニーズは合致しており、参入の余地が大いにあると言えそうです。

民間事業者が行政内部のことを詳しく分からないのと同じように、行政側も民間事業者の事業の企画・運営について詳しく知りません。対話によって、これまで気づかなかった行政ニーズやビジネスの種の発見に繋がる可能性は大いにありそうです。

また、民間提案制度を切り口として行政との接点を持つことで、通常の新規事業の企画や施策の立案の際に行政から意見を求められるような関係を構築することも期待でき、そこから新たなビジネスチャンスも生まれてくる可能性もありそうです。

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