「公共ビジネスの着眼点」 国の新しい政策の動きを掴むには、審議会資料を見るべし
行政が新しい政策を立案するときに、外部の有識者などの意見を政策に反映させるために「審議会」と呼ばれる機関(会議)を設置することがあります。
今回は、公共ビジネスに関わる企業だけでなく、中小企業を支援する中小企業診断士として知っておきたい事項として、行政の動きや政策の方向性を掴み、予想される機会に備えるための審議会資料の重要性についてお話します。
〇国の審議会とは
「審議会」と名の付く機関には、国や地方自治体などの行政機関に設置されるものや、民間でも例えばテレビ局などに設置されている「番組審議会」など様々なものがあります。
その中でも、国に設置される審議会は、内閣府設置法第37条・第54条、国家行政組織法第8条に基づいて設置されるものを指していて、令和6年4月現在、国には総数136もの審議会があります。
#内閣官房 「審議会等一覧(令和6年4月1日現在)」
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/satei_01_04.html
審議会は、各省庁の政策を立案する際に利用され、例えば、経済産業省には産業構造審議会、厚生労働省には社会保障審議会といったような審議会が設置され、その下には分科会や部会といった専門分野ごとの小会議も存在し、様々な政策が審議されています。
内閣府の税制調査会や総務省の統計委員会のような「審議」と付かないものも広く国の審議会に分類されることも特徴のようです。
〇政策決定のプロセスと審議会の役割・特徴
国の政策決定の基本的なプロセスは、①各省庁が政策を立案、②内閣で閣議決定、③国会に提出・審議、④可決・施行といった手順になります。
予算が伴うものであれば閣議決定の前に財務省への予算要求というプロセスがあったり、予算が伴わないものであれば、閣議決定を経ずに「省令」「通知」として世の中に出ていくものや、国会で審議をせずに「政令」として施行されるものもあります。
※割合は低いですが、各省庁ではなく国会議員が立案した政策を国会に提出する「議員立法」というケースも存在します。
その中で、審議会の役割は、①の政策立案の際に、専門知識や中立的な意見を取り入れ、幅広い意見を政策に反映させる点にあります。
そのため、審議会のメンバーには、大学教員や自治体関係者、企業経営者、業界団体代表者などが審議会のテーマに応じてバランスよく就任することが多いようです。
審議会のメンバーは、公募されるケースもありますが基本的には行政側が選定します。一方で、審議会に提出する政策の原案も行政側が作成するので、自作自演や結論ありきの会議だと非難されることもありますが、裏を返せば、審議会で議題に上がるテーマは国の政策の方向性を示すものであると同時に、実現性も高いものであると言えそうです。
〇審議会の資料から国の動きを捉えるべし!
ほとんどの審議会では配布資料や議事録を各省庁のホームページで公開しています。
#中小企業庁 中小企業政策審議会
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/soukai/index.html
この配布資料には、各省庁が実現を目指す政策についての方向性や具体案が記載されており、これについて審議会委員の意見を聞き、政策を固めていくことになります。
そのため、国の動きを先読みするために審議会の資料を確認することは非常に重要になってきます。
例えば、中小企業庁の中小企業政策審議会の第40回会議(令和6年9月2日)の資料を確認すると、「今後の中小企業政策の方向性」として、中小企業の生産性の向上や付加価値の拡大を後押ししていくといった従来の施策のテーマを継続していくことが読み取れる一方で、その方法として「オーダーメイド型の省力化」や「事業再構築についての制度の見直しや効果検証を踏まえた挑戦の促進」といった具体的なキーワードが並んでいます。
これは、現行の中小企業庁の「省力化投資補助金」がカタログ型で使い勝手が悪いといった声や、「事業再構築補助金」のあり方や効果に対して厳しい意見が寄せられていることを踏まえて、補助制度そのものは今後も続けるが、制度設計は見直していくという中小企業庁のメッセージとも取れます。
※なお、本審議会は、令和6年9月27日の自民党総裁選前に開催されたものであり、新しい政権がどのような経済対策を行っていくのか、それによって中小企業政策にどのような影響が起こり得るのか注視していきたいところです。
このように、審議会資料からはその審議会が扱うテーマに対する国の姿勢や、政策の方向性を読み取ることができ、具体的な施策についても大まかに予測することができそうです。
公共ビジネスの観点でも、中小企業を支援する診断士の観点でも、政策が動き出す前に、自社の体制を整えビジネスチャンスに備えておくことが重要です。
しかし、冒頭で紹介したように、国には現在136もの審議会が存在し、分科会・部会などを含めると無数の会議が存在します。
また、各省庁にまたがるようなテーマの場合は、一つの審議会だけを追い続けても、政策全体の動向を把握することは難しいです。
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