「公共ビジネスの着眼点」 中小企業白書が公表。中小企業や支援者は白書にどう向き合うべきか

2025年4月に2025年版「中小企業白書」が公表されました。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho.html

白書とは、各省庁がそれぞれの所管分野についての現状や課題、今後の展望、講じようとする施策などを国民に知らせるための報告書のことです。

中小企業白書は文字通り、中小企業・小規模事業者が直面する課題と、国の対応策について網羅的に書かれており、公共ビジネスに関わる企業や、中小企業を支援する中小企業診断士にとって、重要な文書と言えるでしょう。

今回は2025年版中小企業白書のポイントと、公共ビジネスに関わる企業や中小企業診断士などの支援者が白書をどのように活用していけばいいのかお話します。

○2025年版中小企業白書のポイント

2025年版中小企業白書では、中小・小規模事業者を取り巻く課題や施策の方針について、以下のように述べられています。

・円安や物価高、金利上昇による生産・投資コストの増加や人手不足など、中小・小規模事業者にとって深刻な状況が続くなか、業績が上向かない中での賃上げも増えており、従来のコスト削減戦略は限界を迎えてきている。

・こうした状況において、「経営力の向上」を大きなテーマに、中小企業においては、「成長・スケールアップ」を主軸にした経営力の向上、小規模事業者は「持続的発展」を主軸にした経営力の向上に取り組んでいくことが不可欠となってくる。

・政府としても、積極的なデジタル化や省力化投資、適切な価格設定・価格転嫁を通じて、中小企業が付加価値や労働生産性を高める経営への転換を支援していく。  

このように、白書ではその分野の「事実(過去)→分析(現在)→提案(未来)」を整理し、具体的政策の必要性に繋げていく作りとなっています。では、企業や支援者は白書をどのように活用していけばいいのでしょうか。

○中小企業経営者の白書との向き合い方

中小企業経営者が白書を活用するうえで最も重要なポイントは、白書を「読む資料」ではなく「使う資料」として活用することです。

2025年版中小企業白書は全体版が約330ページ、概要版でも44ページと非常にボリュームが大きく、忙しい経営者が熟読するのは極めて困難です。このため、経営者として大切なことは、行政とのコミュニケーションに必要な箇所だけを部分的に読み、活用することだと言えます。

例えば役所への提案資料や支援制度の申請書類などを作成する際に、「人材不足、価格転嫁、DX」など白書に書かれている問題意識やトレンドに自社の課題や目指す方向、自社の商品・サービスの役割を寄せておくと、説得力が高まるでしょう。

○中小企業診断士は白書をどのように活用するべきか

中小企業を支援する中小企業診断士にとって、白書は個社の課題の診断や助言をする際の「マクロ視点の背景情報」として非常に有効です。

例えば、価格転嫁のテーマについて、2025年版白書では、「価格転嫁ができている企業は、見積書の工夫・根拠提示・代替案の提示を行っている」と事例分析がされています。

こうした成功事例をもとに、取引先への価格転嫁の提案に悩んでいる事業者に対して、取引先に納得感を与えるための「データを用いた見積の根拠提示」を提案し、原価構造の分解・整理のサポート受注に繋げることができそうです。

その際に、業界全体がコスト上昇していることを示すために、白書の図表をそのまま見積書添付資料に使うなど、 客観的根拠として白書を使うことも有効かもしれません。

また、中小企業白書のほかにも、労働経済白書(厚生委労働省)、情報通信白書(総務省)、観光白書(観光庁)など、経営に関わる政策動向を掴むのに有効な白書は多数あります。

多数の白書の中から、得意領域や支援先に合わせて、適切な白書を選択し、提案に繋げていくことも診断士にとって重要と言えそうです。

○まとめ

経営者と支援者、どちらの立場でも白書は「全部読む」のではなく、「必要なときに、必要な部分だけ使う」という姿勢が正解と言えるでしょう。

公共ビジネスの観点としては、白書から大きな政策の流れを掴み、この流れに自社や支援先を上手く乗せていくことで、行政の支援や行政とのビジネスを受けられる可能性を高めていくことができるでしょう。

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