「公共ビジネスの着眼点」 中小企業活性化協議会「補佐人制度」は、診断士の新たなビジネスチャンスとなるか
コロナ禍に実施されたゼロゼロ融資の返済負担の本格化に加えて、昨今の原材料やエネルギー・労務費等の高騰など、中小企業を取り巻く外部環境が厳しさを増すなか、中小企業の再生支援ニーズが拡大しています。
こうしたニーズに応えていくため、中小企業庁は2024年11月より中小企業活性化協議会「協議会補佐人制度」を開始し、地方の中小企業診断士などが「外部専門家補佐人」として再生支援に参画しやすくなる仕組みを整えました。
#中小企業庁「中⼩企業の再⽣に向けた中⼩企業庁の取り組み」
https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/data/aft250331a5.pdf#page=10
即戦力を求める一般的な公的な専門家派遣とは異なり、「協議会補佐人制度」は再生支援の専門家の育成を目的としたスキームのようです。
今回は、この「協議会補佐人制度」の狙いや効果、さらには診断士にとってビジネスチャンスとなるのかについて考えていきたいと思います。
○再生支援を担う「中小企業活性化協議会」とは
中小企業の「再生支援」は、経営が悪化している中小企業に対して専門家が関与しながら資金繰りの改善や事業の立て直しをサポートするものです。その中心的な役割を担うのは、国が全国47都道府県に設置する「中小企業活性化協議会」です。
活性化協議会は、金融機関出身の職員を中心に弁護士・公認会計士などの専門家が参画し、企業の実態調査(デューデリジェンス(DD))から再生計画策定、金融機関との調整までを中立的な立場で一体的に支援する機関です。
再生支援は通常の経営支援と異なり、財務分析・キャッシュフロー管理、法的・私的整理の手続き、業種特性や現場実務も含めた幅広い知識と経験が求められるため、活性化協議会では、協議会内部の人材だけでなく外部専門家を活用しながら支援を進めていく仕組みを取っています。
○現場の課題感
しかしながら、再生支援を担える専門知識や実務経験を持つ外部専門家は全国的に見ても少なく、また、その多くが東京などの都市部に偏在する傾向にあります。
国や活性化協議会としては、地域の事情に精通し地方の支援機関や金融機関と連携が取れる「地元の支援人材」を活用することで、増加する再生支援ニーズに対応していきたいようですが、現状は都市部の外部専門家に頼らざるを得ない状況です。
#第3回 企業価値向上支援ワークショップ「地域金融機関における事業再生支援(抜本再生等)の取り組み」資料5 p.8、9
https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/data/aft250331a5.pdf
また、支援人材の不足の影響で再生支援業務に係る報酬が高額化していることも問題点です。地方の案件は地方で解決できる支援体制を整えることで報酬の適正化を図りたい思いもあるようです。
○「協議会補佐人制度」とは
こうした状況を受け、中小企業庁は、地方の診断士等が「外部専門家補佐人」として再生支援の実務に参画できるスキーム「協議会補佐人制度」を昨年11月から開始し、今年度に入ってから本格的に人材の育成に乗り出しています。
この協議会補佐人制度では、補佐人を委嘱された診断士等が、都市部などの外部専⾨家を補佐する形で業務に携わり、ひと通りの再生支援の実務を経験します。
そして、補佐人を3回経験すれば、再生支援の専門家として独り立ちすることができ、単独で支援業務に携わることができるようになる制度設計になっています。
○「協議会補佐人制度」は診断士にとってビジネスチャンスか
診断士の主な働き方のひとつに、「公的支援制度による専門家派遣」がありますが、多くの公的支援制度では、経験・知識・能力を活かした即戦力としての活躍が期待されることがほとんどであり、協議会補佐人制度のように育成を前提としたスキームは非常に稀です。
「診断士としての仕事の幅を広げたい」、「専門としている分野の市場が縮小傾向で新しいことに挑戦したい」といった課題を抱える診断士にとっては、「協議会補佐人制度」は非常に大きなビジネスチャンスと言えるのではないでしょうか。
行政の施策は、初期段階であればあるほど、まずは実績の確保に注力する傾向にあります。新設の補助金の採択率が初期ほど高いのも似たような理由からです。協議会補佐人制度も、制度開始間もないこのタイミングの参入ハードルは低いと見てよさそうです。
実際に、多少経験に乏しい診断士であっても、活性化協議会が全面的にバックアップしながら専門家として育成していく方針を取っている自治体もあるようです。
また、協議会補佐人としての仕事だけに留まらず、公的支援機関である活性化協議会との業務経験を通じて、他の支援機関や金融機関、行政本体と関係を構築する契機にもなります。
今後、本格化が見込まれる協議会補佐人制度に注目してみてはどうでしょうか。
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