「公共ビジネスの着眼点」 フリーランス新法が2024年11月1日から施行 実は多くの中小企業にも影響が・・・知っておきたい制度の勘所
令和6年11月1日にフリーランス新法が施行されました。
#Yahooニュース 2024.10/31付
フリーランス新法あすから 企業側は60日以内に報酬支払う義務など
https://news.yahoo.co.jp/articles/00c1a7bf1ee6a9fab74f47d1d155700baf2cfacc
公共ビジネスに関わる事業者の方々や、それをサポートする中小企業診断士の方々には、自身がフリーランスとして活動している方もいれば、フリーランスにお仕事を依頼することもあるのではないでしょうか。
今回は、多くの中小・小規模事業者の方々に関係するフリーランス新法について見ていきたいと思います。
〇フリーランス新法の概要
フリーランス新法とは、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」という名称で、その名の通り、フリーランスと、フリーランスに仕事を発注する事業者との間の取引の適正化を図るとともに、取引上弱い立場になりやすいフリーランスの方々が安心して働ける環境を整備することを目的としています。
これまで取引の適正化というと、発注者が下請事業者に不利益を与えることを下請法(下請代金支払遅延等防止法)という法律で禁止していましたが、同法は、発注者の資本金が一定以上の場合に適用されるため、小規模事業者や個人事業主の方々が適用を受ける場面は多くありませんでした。
一方、フリーランス新法では、規制を受ける事業者に資本金や従業員規模など要件はないため、対象になる事業者の数は相当多くなることが見込まれ、実務上の影響も大きくなりそうです。
〇新法における「フリーランス」とは?
フリーランスがどのような働き方をしている人を指すのかは制度や場面によって様々ですが、フリーランス新法では「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」をフリーランスと定義しています。プロのカメラマンさんをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
ただし、従業員を雇わない事業者であれば、個人事業主だけでなく法人でも「フリーランス」として保護されるという点もこの法律のポイントになってきます。
〇フリーランス新法の施行によって発注者が求められる対応とは?
この法律の施行によってフリーランスに業務を発注している事業者の方々は大きく分けて「取引の適正化」と「就業環境の整備」という2つの分類に紐づく計7つの義務項目に対応することを求められることになります。
■取引の適正化
①書面などによる取引条件の明示
②報酬支払期日の設定・期日内の支払い
③7つの禁止行為(成果物の受領拒否や返品、買いたたきの禁止など)
■就業環境の整備
④募集情報の的確表示
⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮
⑥ハラスメント対策に関する体制整備
⑦中途解除等の事前予告・理由開示
公正取引委員会が設置した特設サイトでは、7つの義務項目の詳細がイラスト付きで分かりやすく解説されています。
#公正取引委員会フリーランス法特設サイト
https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/
ここで注意しておきたいのは、すべての発注事業者があらゆる取引において7つの義務項目全てに対応しないといけないわけではないということです。
従業員を雇用しているかどうか、また、発注する業務の委託期間の長さによって、対応が必要な項目が異なります。
ケースによっては、フリーランスからフリーランスへの発注にも新法が適用されることも注意が必要です。
この点も、公正取引委員会の特設サイトで、ケース毎にどの項目に対応する必要があるか明示されているので、施行から間もないうちは、取引の都度こまめに確認するのが安全でしょう。
〇フリーランス新法が中小企業者に及ぼす影響は?
ここまで見てきた通り、新法の施行で大きく影響を受けるのは、フリーランスに業務を発注している事業者の方々です。
とりわけ、注目するべき点は、取引の適正化だけでなく、育児介護等と業務の両立やハラスメント対策といった「就業環境の整備」にまで踏み込んだ規制がなされている点ではないでしょうか。
従来、雇用関係にある会社と従業員との間で重要視されてきた就業環境の整備が、新法では、発注者事業者とフリーランスの間にも求められています。その背景には、政府が推し進めている労働市場改革がありそうです。
政府は近年、終身雇用や年功序列といった日本型雇用を見直し、労働者のリスキリング(学び直し)を後押することで自分の意志で仕事を選ぶことができるよう環境を整えるといった労働市場改革を進めています。
経済団体や、日本を代表する企業も終身雇用の継続は難しいという認識を折に触れて示しており、ここ数年、官民をあげて日本人の「働き方」を大きく転換していこうという機運を高めているような印象を受けます。
一方の労働者も、男性の育児参加の促進、高齢化の進行による介護の負担増、自由に働きたい若手世代の増加など、時間と場所に縛られない働き方を望む人が増えていて、その思いの行きつく先が「フリーランス」であることが多いのではないでしょうか。
日本には、462万人ものフリーランスがいると言われていますが、この数は今後さらに増えると考えられます。このことからも、今後、日本型の雇用に頼らず多様な働き方を選ぶ人を支援する政策に力が入れられると予想されます。
近年、金銭面と同等以上に「働きやすさ」の観点で企業が労働者に選ばれる傾向が強まっているように、これからは、働きやすい発注者がフリーランスから選ばれる時代が来るのかもしれません。
選ばれる発注者となるために、また、受託者として働きやすい発注者を見分けるためにも、フリーランス新法をはじめとした国の政策の動向を注視していきたいですね。
当社では、官公庁への効果的なアプローチ方法について、伴走型の専門的なアドバイスを行っています。
「うちの強みを活かして公共ビジネスに参入する余地はあるのか」、「どういう風に官公庁や自治体と付き合っていけばよいのか」などのご相談がございましたら、ぜひ当社にご連絡ください。
