「公共ビジネスの着眼点」 ふるさと納税のポイント付与禁止へ、そもそも「ふるさと納税」をどう捉えるべき?
ふるさと納税の返礼品を扱うマッチングサイトで、ポイント付与が禁止になるようです。
#Yahooニュース 2024.7/21付
ふるさと納税「ポイント禁止」のなぜ? “業者の中抜き”だけじゃなかった…憂慮すべき「2つの問題」とは
https://news.yahoo.co.jp/articles/bed7c1a81d4c723599ef029c9990fc034687cc61
#総務省 2024.6/28付
「ふるさと納税の指定基準の見直し等」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000126.html
#総務省 ふるさと納税ポータルサイト
「よくわかる!ふるさと納税」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/about/
2008年に始まったふるさと納税は、寄付額は今や1兆円規模で、返礼品を活用した自治体間の競争が激しくなっています。
今回の総務省の発表で、ルールが見直され、マッチングサイトでのポイント付与の禁止や、返礼品基準の厳格化などが盛り込まれました。(令和7年10月1日から適用)
ポイント付与の禁止については、マッチングサイトを運営するプラットフォーマーへの仲介手数料が過大となっていることへの対応とみられます。
また返礼品基準の厳格化については、産地偽装といった不正や地域経済に根付いていない返礼品が散見されることへの対応とみられます。
年々市場が拡大しているふるさと納税ですが、そもそもふるさと納税とはどういった特徴の制度なのか、また公共ビジネスに関わるものとしてどのように捉えるべきものなのか、今回はこの点について見ていきたいと思います。
●そもそも「ふるさと納税」とは
ふるさと納税は、個人住民税の寄付制度で、故郷や縁のある自治体を応援できるようにしよう、という理念のもとに始まったものです。
しかし単純に寄付してください、といっても寄付は集まらないので、「返礼品」と「税控除」という2つのメリットを用意して推進を図ってきました。
「返礼品」は、ふるさと納税額の3割以内の金額の返礼品がもらえるもので、「税控除」は、ふるさと納税額の一部を、個人住民税(地方税)と所得税(国税)から控除できる仕組みのことです。
このメリットのおかげで、実質的に2,000円で返礼品が手に入るというお得な「節税制度」として、広く認知されています。
●制度の沿革
制度の開始当初は、各自治体が独自にPRしていたため、国民は能動的に自治体のサイトを見に行かなければ情報が取れませんでした。どの自治体もPRに苦慮していたように思います。
その後、返礼品を扱うマッチングサイトを運営する民間事業者が現れたことで、全国の返礼品を比較検討することができるようになりました。これまで届かなかった情報が多くの方に届くようになった一方で、国民の関心は、より魅力的でお得な返礼品はなんなのか、という方向に向かいました。
魅力的な返礼品を持ち、ふるさと納税で寄付が増えた自治体には非常に大きな恩恵があります。
単純に税収が増えるだけでなく、地域の特産品などが返礼品となるため、地域経済への波及効果も期待できるからです。注目を集めることによるPR効果もあります。
マッチングサイトは、税金を使った激しい競争市場を作ってしまったという側面もありますが、地域や地域の魅力的な産品に光を当てたという功績もあります。
●自治体への影響
では自治体への影響はどうでしょうか?
公共ビジネスに関わる事業者としても、この観点は押さえておきたいところです。
実は、ふるさと納税は、自治体にとって相当過酷な仕組みです。
忘れがちですが、ふるさと納税は、居住自治体の財源になるはずだった住民税を、寄付自治体へ移動させる制度です。そしてふるさと納税を行っても、日本全体で税金は増えも減りもしていません。限られたパイを奪い合うゼロサムゲームです。
住民税は、地方税として、自治体の基礎となる事業の財源となっています。財源が増減すると、医療や社会保障、土木、消防や警察といった、その地方自治体の公共サービスの質に直結します。
自分たちの住民が他の自治体にふるさと納税すればするほど、その自治体のサービスが悪くなるということです。
当然、議会や住民は、財源が減らないよう、できれば財源が増えるよう、ふるさと納税の寄付額を増やす政策をもっとするように自治体に求めます。
自治体としては、自分たちの住民にふるさと納税をしないように訴えるのは難しいので、よその人にふるさと納税をしてもらうようPRを強化する動きを取ります。
特に、元々財源を多く持っているような都市部の自治体などへの影響が大きいようです。
というのも、救済措置として、ふるさと納税で税収が減った自治体には国から地方交付税による一部補填がありますが、元々財政力の高い自治体にはその補填が無いからです。
※地方交付税の対象となっている自治体にはふるさと納税による流出額の75%が国から地方交付税交付金として補填される仕組みになっています。地方交付税は、国から地方に配られるお金のことで、その自治体の規模や財政力に応じて決定され、財源が不足する自治体に多く配られます。都市部の自治体など色々な事情で財源を持っている自治体では地方交付税が不交付となっています。令和4年度では73の自治体(+東京23区)が不交付団体となっています。意外な自治体が不交付団体となっていることがあるので確認してみてください。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000826808.pdf
こういった事情で、全国的に返礼品などのPR競争が過熱しており、とりわけ都市部などの財政力の高い自治体では財源流出が大きな課題となっているわけです。
●ビジネスの種
以上、見てきたように、よくも悪くも自治体はこの競争に巻き込まれ、参加せざるを得ない状況にあります。
課題感を持っている自治体が多いことは予想され、そこに公共ビジネスに係る事業者が関与する余地があると言えそうです。
例えば、自治体が抱える課題の1つとして、経費の削減が挙げられそうです。
総務省の資料では、ふるさと納税の寄付額の5割は経費として使われてしまい、5割しか自治体の手元には残らないようです。返礼品の確保や郵送、PR経費、事務経費のほか、今回話題に上がっているマッチングサイトへの掲載料や仲介手数料などで消えています。
こういった経費の削減や効率化といったところにも、自治体のニーズがありそうです。
また、単に納税額を増やすというだけでなく、地域産品の磨き上げや掘り起こし、商品化、自治体自身の宣伝や、地元の人にとって地域の魅力の再発見など色々な政策への展開も考えられます。ふるさと納税は、実質的に返礼品を通して地場産業を振興する効果があるので、このあたりに力を入れる自治体も多そうです。
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