「公共ビジネスの着眼点」 そのイベントの主催は誰?「実行委員会」を知ることで見えてくる行政の事業運営

公的なイベントや事業を計画・運営するために行政が主体となって「実行委員会」が組織されることがあります。

今回は実行委員会を使った行政の事業運営の手法と公共ビジネス参入に必要な視点についてお話したいと思います。

○行政が設置する実行委員会とは

身近なものでは高校・大学の学園祭の実行委員会や地域のお祭りの実行委員会など、関係者が協力して物事を進める際に、「実行委員会を組織する」ということが官民問わず行われています。

こうした実行委員会のなかには、運営を公務員が担っている場合や、事務局が行政内に置かれている場合など、行政が人や場所を提供する「行政が設置する実行委員会」というものがあります。

企業や関係団体などの関係者が参加し、共同で行事の企画・運営を進めていくという点では一般の実行委員会も行政が設置する実行委員会も同じです。

しかし、行政が設置する実行委員会では、運営費のほぼ全てを行政の補助金や委託料(あるいは関係者からの負担金)などの名目で支出していることも多く、実態としては実行委員会≒行政と言っても差し支えない場合が多いです。

具体例を挙げると、例えば市民マラソン大会や農林水産系のフェア、芸術文化大会など、公的色合いの強いイベント・行事が、行政主体の実行委員会形式で運営されることが全国的に多いように思います。

「組織委員会」や「協議会」など、必ずしも実行委員会という名称を用いないこともあります。ただ事務局の責任者が行政の幹部職員であったり、事務局の所在地が行政の住所になっていたりするので、判別はさほど難しくありません。

2021年に開催された東京オリパラ組織委員会や、開催を来年に控えた大阪万博協会も似たような仕組みと言えます(こちらは法人格を持った組織であるという点に違いがあります)。

行政が自ら実施するのと変わりない体制なのにもかかわらず、わざわざ実行委員会を設置するのは、一見すると手間が増えて大変なように思えます。しかし、当然理由もなくこのような手法を採用しているわけではありません。

○実行委員会形式は「隠れ蓑?」批判のワケとは

行政が実行委員会形式で事業を行う根本の目的として、行政以外の企業や団体等の関係者を巻き込み、皆に当事者意識を持ってもらいながらイベントや行事を成功に導きたいという意図が前提にあります。

一方で、運営面に目を向けると、実行委員会は行政本体とは「独立した別組織」であるということが、行政が実行委員会形式を採用する理由を理解するうえでのポイントになります。

というのも、本来であれば行政が自ら事業を運営する場合、例えば発注事業者を選定するには、法律や規則といった行政のルールに則り、入札やプロポーザルなどを通じて厳正・公平に事業者を選定しなければなりません。

また、手続き面でも行政内部の決裁に多くの時間を要し、議会や監査、情報公開制度など厳しい外部の目にも晒されます。

公務員の立場からすると、行政自ら実施する事業運営は、とにかく「面倒」なのです。

しかし、実行委員会であれば、行政のルールの外にあるため、発注事業者を比較的自由に選定し、決裁手続きも実行委員会事務局内部で完結するので、短い時間で済む場合があります。名目上では「別組織」であるため、何か問題が発生した時に「実行委員会が行ったことで、行政は関与していません」と言い張ることもできそうです。

こうした特徴があるため、実行委員会が行政による「外部化の手法」、「隠れ蓑」としてしばしば批判の的になることがあるというわけです。

○実行委員会からビジネスのチャンスを探る

しかし、公共ビジネスの視点では、行政主体の実行委員会は大きなビジネスチャンスとなり得ます。

例えば、行政本体と仕事をするよりも参入ハードルが低く、スピード感のある受注に繋がる可能性が高いため、経営計画や資金繰りの観点からも有利な案件が多いことは魅力と言えます。また、実行委員会の発注者は公務員であるため、業務を通じて関わる行政組織の考え方や課題を知る機会となり、担当者との接点を持つ場にもなります。

実行委員会形式は、行政が行う大小さまざまな行事・イベントで採用されています。事務局の所在地や責任者の名称をインターネット検索すると、実行委員会の実態がつかめるケースがあります。調べてみると、実行委員会形式での事業が行政運営の中に多く組み込まれていることに驚くと思います。

まずは、公共色の強いイベントを見かけたら「このイベントの主催者は誰?」という視点を持つことが重要と言えます。

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