「公共ビジネスの着眼点」 「GoToキャンペーン」から考える公共ビジネスに必要なもの

GoToキャンペーン事業が巷を賑わせています。

周知のように、この事業は令和2年度補正予算として1兆6,794億円が計上された目玉施策です。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、甚大な被害を受けた観光産業や地域産業の活性化を企図する需要喚起策として位置付けられています。

この事業をコロナ収束が見極められていないこのタイミングで急ぎ進めるべきなのか、本来期待されるべき効果が見込める事業なのか、といったところは考え方や立場の違いから、様々な意見が出ると思います。

しかしそれよりも問題になっているのは受託経緯の不透明さでしょう。
詳細は既報に譲りますが、この手の大型事業は実態の乏しい協議会が一次請けとして受託し、再委託された大手広告代理店が事業全体を差配するという商流が常態化していました。そういった経緯の中で、GoToキャンペーン事業でも同様なことが行われ、さらにキーマンである省庁幹部と大手広告代理店との間に不適切な関係があるのではないかと取り沙汰されている訳です。

このようなニュースが報道されると、公共ビジネスは「政治家や幹部官僚とのコネクションで決まる」というふうに思われてしまう方が多いようです。
実際にその類の質問されることもよくあります。
そういう裏側の世界に一市民として釈然としない思いを抱く一方で、怖い物見たさというか、ある種憧れのような気持ちもあるようです。

結論から言うと、「政治家や幹部官僚とのコネクションで仕事が決まる」確かにそういう世界はあります。
しかしそのようなコネクションはあってもいいのですが、無くても全くかまいません。
むしろ中途半端にコネクションを持ち、それを使おうとするよりは、無い方がよっぽどいいかもしれません。
今回のように大事になってしまえば、その真偽や違法性の有無は別にしても、会社として受ける被害は計り知れないのですから。

そもそも前提として知っておくべきなのは、そういった空中戦の世界で仕事が決まるのは、公共ビジネスの極々一部でしか無いということです。
政治家や幹部肝煎りの大型案件だけで公共ビジネスは成り立っている訳ではないのです。
そのような世界を知らずとも、あるいは踏み込むリスクを負わなくても、十分な売上を確保し、事業を継続させることはできるのです。

ほとんどの案件を具体的に動かすのは政治家や幹部官僚ではなく、一担当者です。
担当者は法律や省令に定められたプロセスに沿って調達業務を行います。
そして事業者側の方でも、実際に事業を受託し、進めていくために実務的なハードルを山ほどクリアしなければなりません。
そういった基本を知らずに、一足飛びに政治家や幹部官僚を動かそうとしても、仕事を取ることなどは出来ないですし、仮に取れたとしても‟事故”ってしまうのが関の山でしょう。

勘違いしてはいけないのは、前述の大手広告代理店も単にコネクションだけに頼っているのではなく、公共分野において長年に渡り蓄積してきた確かな実務能力を備えているので、大きな事業を取り仕切ることが出来るという評価を受け、そういった機会をより多く得ることができているのです。

大切なのは、一にも二にも、公共ビジネスの基本を押さえて、実務を取りまわすノウハウを蓄積することなのです。