「公共ビジネスの着眼点」 「成長加速マッチングサービス」はビジネスチャンスを拡大させるか

2025年3月に中小企業庁が「成長加速マッチングサービス」という新サービスをリリースするようです。

#中小企業庁「成長加速マッチングサービス」
https://mirasapo-connect.go.jp/corporation

○「成長加速マッチングサービス」とは

「成長加速マッチングサービス」は、事業拡大や新規事業立ち上げなどの成長志向を持つ事業者が、支援者とつながることができるマッチングプラットフォームです。

現在公表されている情報では、①資金調達、②事業承継、③経営相談のテーマで支援が必要な事業者と支援者をマッチングさせて、事業者の成長を後押しすることが目的とされています。

支援を受けたい事業者がマッチングシステムに資金調達や事業承継など課題やニーズ、財務情報、補助金申請情報、自社のアピールポイントなどを登録することで、登録内容に関心を持った支援者からコンタクトを受けることができるようです。

支援者としては、

1.認定経営革新等支援機関
2.金融機関から推薦を受けた当該金融機関関係の投資会社
3.中小機構が民間機関等とともに組成した投資ファンド運営している投資機関
4.中小企業投資育成株式会社法に基づく中小企業投資育成株式会社

が指定されており、システムに登録することでこのサービスが利用できます。

※認定経営革新等支援機関とは、企業経営の専門的知識や支援経験が一定レベル以上と認められた士業や法人、金融機関、公的支援機関のことです。

中小企業支援においては、国の施策であっても、都道府県や市区町村単位で地場の行政や公的機関、金融機関が実行役となって地域の中小企業を支援する形が主流で、地域によって提供サービスの量的・質的なバラつきがあることが課題になっていましたが、このサービスを利用することで地域を超えた資金ニーズと投資ニーズのマッチングや事業承継の実現、経営課題の解決に繋がることが期待できそうです。

中小企業を支援する診断士も、認定経営革新等支援機関としてこのサービスに参画することで、自身の支援スキルを必要とする全国の事業者を発掘しビジネス拡大に繋げるチャンスを得られそうです。

一方で、事業者がシステムに登録できる事業内容やアピールポイントはそれぞれ500文字までと情報量としては決して多くなく、全国に約336万社の中小企業が存在するなか、このサービスが軌道に乗り、相当数の事業者が利用登録したときに、支援者がマッチング相手を探す際の確認ポイントが財務情報や補助金申請情報といった定量的な要素ばかりになってしまう懸念もありそうです。

また、このマッチングサービスでは、支援者が事業者の登録内容を見てコンタクトを取るスキームになっており、事業者側から支援者に支援を要請することはできない仕様になっているようです。

このため、サービスの利用用途が支援側の金融機関や投資機関の案件探しに偏ってしまい、事業者側のニーズや課題の解決に繋がらない恐れもあり、公的なマッチングサービスとしては挑戦的な取組みにも見えます。

○中小企業診断士としてどう関わるか

診断士としては、こうした特徴を踏まえたうえで、このサービスのメリットを享受できそうな事業者を見極めたうえで利用を勧める必要があるでしょう。

例えば、出資による資金調達を求めているものの、支援者に出会う機会に乏しい地方のスタートアップ企業や、地域を超えて幅広く事業の引継ぎ先を探したい企業など、現状の支援の地域間格差を埋めることで課題の解決が期待できる事業者には、このサービスを紹介することでその名の通り「成長の加速」に繋がるのではないかと思います。

サービスは3月運用開始予定で、登録事業者の募集はすでに始まっています。サービス開始間もないうちは、支援者の関心が高い一方で参加事業者は少なく、チャンスを獲得するうえで有利になってきます。事業者・支援者の双方がこうした新しい施策に前向きに参加していく姿勢が重要と言えそうです。

 

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