「公共ビジネスの着眼点」 「官僚たちのアベノミクス」から読む公共ビジネスに携わる条件

公共ビジネスを考える上で参考になる書籍を見つけたので紹介したいと思います。

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官僚たちのアベノミクス――異形の経済政策はいかに作られたか
「国家意思」は、はたしてどのように実際の政策に形作られ、実現されていくのか。
政府・日銀の歴史的な「共同声明」作成のプロセス、「2」並びの目標数値の出処など。
官邸、経産省、財務省、金融庁、日銀、財界、有識者……誰が、どう動いたのか。
圧倒的な取材力を誇る著者が、政権交代以降、異例の政策の生成過程をつぶさに再現する。
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政府機関によって大きな政策決定が行われると、それが新たな法制度や予算を生み出します。
すると必然的に多種多様なプレーヤーがそのプロセスに関与しようと、影響力を行使してきます。

例えば本書で取り上げられている「消費税増税、そしてその延期、軽減税率の導入」という一連の政策の動きだけみても、
・経済成長を重視したい首相および官邸官僚
・持論を正しいことを証明したいエコノミスト
・消費税増税を法人税減税とのバーターにしたい経団連
・財政再建を省是とする財務省
等々、様々なプレーヤーが主導権を握ろうと、陰に陽に動いてきたことが分かります。

さらに、そこに選挙対策や景気対策といった政局という要素が加わると、自民党や公明党などの政党も関与し、局面はますます複雑化します。

ちなみに、国家戦略立案の舞台装置としての経済財政諮問会議、そして幹部官僚の人事を差配する内閣人事局、これら二つのカードを官邸が掌握し、パワーゲームを展開する中で有利に動いていたのがここ最近の傾向でした。
これも菅政権に移行していく中で、どのように変わっていくかは予断を許しません。

公共ビジネスに携わる時にこれらの関係式やトレンドについて情報収集していくことは確かに重要です。しかし、これらの動きについて継続的に情報収集を行い、正確に分析するのは専門家でも無い限り限界があります。
より重要なのは、「国や自治体から事業を受注する‟公共ビジネス”とはこういうものだ」という相場観を持つことです。

つまり、政策決定のプロセスで多種多様なプレーヤーが関わってくるため、そこで実務を支える立場の者は日々奔走する事になりがちだ、という事なのです。
公共ビジネスに携わっていると、このような朝令暮改にはかなりの頻度で遭遇します。
私がプロジェクトリーダーとして関わっていた事業でも、ギリギリまで重要な日程が決まらず、週単位でスケジュールを引き直したり、契約内容との整合性をどう担保するかといった事を日々調整したりしていました。

そこを理解せずに事業者としての都合を一方的に主張しているだけでは公共ビジネスに継続的に関わることは難しいでしょう。
もちろん、言われたことを何も考えずに従うべきだと言っているのではありません。
彼らの立場を理解し、寄り添いながらも、一方で冷静に問題を整理し、的確な対策案を提示する。このようなアクションが出来てはじめて、信頼に足る事業者として認知されることになるのです。