「公共ビジネスの着眼点」 重要な情報は公募要領以外に隠れている?補助金申請で押さえておくべきポイントとは

令和6年12月17日に国の令和6年度補正予算が成立し、これに基づく中小企業向けの補助金の公募が順次始まっています。

今回の補正予算を機に新しく始まる補助金もあり、設備投資や販路開拓に取り組む中小企業としては、コストを抑えてチャレンジができるチャンスとして有効に活用していきたいものです。

そこで今回は、補助金の活用を検討する際や実際に申請に挑戦する際に、他社に先んじて準備をしたり、新設の補助金に挑戦する時の情報収集にどういった視点が必要なのかについてお話していきたいと思います。

○補助金申請までの流れと活用の問題点

国や自治体の補助金の公募では、まず「公募要領」という補助金の募集内容が示されたルールブックのようなものが配布されます。

#事業再構築補助金事務局 公募要領
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/koubo.html

申請を検討する中小企業では、まず最初に公募要領をじっくり読み込んでその補助金の具体的な要件等を把握し、自社が使えるものか検討し、1~2ヶ月後に設定されている締め切りに向けて申請準備を進めるという流れが一般的です。

この時、採択の難易度が高い補助金では専門家や支援機関に申請に向けた相談に行くケースも多いと思います。

しかし、公募が始まって初めて補助要件等を把握して準備をはじめても、自社の投資スケジュールと補助金のスケジュールにズレが生じている場合には、補助金の活用を断念したり、投資スケジュールを無理に後ろ倒しにせざるを得ないことになります。

また、実績のある専門家は補助金の公募開始前には見込み客を獲得しており、公募が始まった時にはもう支援を引き受けてくれないこともあります。

こうした理由から、補助金の活用を検討するのは公募が始まるより早ければ早いほど良いと言えるでしょう。

中小企業を支援する診断士としても、中小企業への提案営業や、優良な案件の獲得に向けて早期の情報収集が非常に重要になりそうです。

○公募開始前に補助金情報を得るには事務局募集に注目しよう

では、公募開始前に補助金の情報を収集するにはどういったことに着目したら良いのかというと、ひとつには「事務局の公募情報」があります。

国や自治体における補助金では、補助金に関する事務作業を担う事務局を行政本体でなく外部に設置し、民間企業などがその業務を受託する場合が多いです。

この補助金事務局も公募により選定されることから、補助金の公募の前には事務局の公募情報が国等のHPに公開されます。

#中小機構 令和6年度補正予算「小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金)」に係る事務局の公募についてhttps://www.smrj.go.jp/procurement/solicitation/pg85um00000012rl.html

この公募情報は、事務局業務を受託する事業者向けに作られたものですが、応募資格や選定基準といった入札に必要な情報だけでなく、見積書や提案書を検討するうえで必要になってくる補助金の概要が記載されていることがあります。具体的には、申請コースの概要やコースごとの補助上限、補助率、採択件数や年度中の公募回数の予定などです。

とすれば、中小企業を支援する診断士や中小企業自身も、こうした情報を公募開始前に把握しておくことで、事前に設備投資の計画に合わせて補助金の活用を検討することができ、公募開始前から支援の体制を整えることができるようになるというわけです。

○新設の補助金に挑戦するために着目すべきポイントは?

この他に、新しく創設された補助金では、既存の補助金と異なりこれまでの採択実績や採択傾向などが分からないため、申請に必要な事業計画書にどういったことを盛り込んだら良いか苦慮することが多いです。

こうしたときにも公募要領以外に有効な情報が隠れていることがあります。

一例として、今回の補正予算で新設された「中小企業省力化投資補助金(一般型)」では、申請するために満たすべき要件の一つとして、省力化のための投資によって「業務量が削減される割合を示す省力化指数」を計画書内で示さなければならないとされています。

この省力化指数については、公募要領に計算式は記載されているものの、いったいどの程度の数値を求められているのかは公募要領から読み取ることができません。

そこで注目するのが、令和6年6月に公募が開始されている「中小企業省力化投資補助金(カタログ型)」においてカタログに載せる設備を製造している事業者向けの情報です。

#中小企業省力化投資補助金事務局 「製造事業者向け」情報https://shoryokuka.smrj.go.jp/manufacturer/

ここでは、自社の製品をカタログに載せてもらうための申請様式がエクセルで掲載されていて、省力化指数が0.2より大きければ「適格」とされる計算式が組まれています。さらに、5軸マシニングセンタであれば「0.64」と具体的な数値も例示されています。

このことから、新設の「中小企業省力化投資補助金(一般型)」において工作機械を導入しようとする場合でも、省力化指数は少なくとも0.2より大きく、0.6程度を目安にして計画書を作ってみても良いかもしれないと見当をつけることができるわけです。

○公募要領だけにとらわれず、広い視点で情報収集しよう

このように、公募要領に記載されていない事柄でも、視点を一段階広く取って情報収集をすることで、より早く、より有効な情報を獲得することができる場合があります。

こうした情報収集は、中小企業の経営者が取り組むには難易度が高いかもしれませんので、中小企業を支援する診断士の出番と言えるでしょう。

コロナ禍以降、補助金バブルとも言われる状況にあって、補助金を活用したいと考えるライバルは多く、人気の補助金の採択率は決して高くはありませんが、情報収集の面で他社に差をつけていくことが準備段階では重要になってくるのではないでしょうか。

 

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