「公共ビジネスの着眼点」 重要政策を担う「首長直轄組織」からビジネスのチャンスを探る

12月に入り、2024年も残すところあと僅かになりました。

2024年に最も世間の注目を集めた役所と言えば、今年3月に知事がパワハラ疑惑などで告発され失職する事態にまで発展した兵庫県庁を想像する方が多いのではないでしょうか。

この問題では、「牛タン倶楽部」と呼ばれる知事の側近幹部職員たちが告発者探しなどに関わったことも連日のようにマスコミに報じられ話題を呼びました。この幹部職員たちの多くは、知事の就任時に直轄組織として新設された「新県政推進室」(現在は廃止)の出身者だったそうです。

#産経新聞2024.9/28付
https://www.sankei.com/article/20240928-YC5COTJC4VPQ3D43MJHNBMLRMY


こうした直轄組織とは、兵庫県庁だけでなく多くの役所に設置されています。今回は、この「直轄組織」とは何なのか、そこに在籍する職員とはどのような人たちなのか、公共ビジネスの観点からお話をしていきたいと思います。

〇「直轄組織」とは何か?

幅広い分野の政策を扱う行政では、分野ごとに部や局と呼ばれる大きな部門が設けられ、部長や局長といった部門の責任者たちがその分野の政策をとりまとめます。

このような仕組みをとることで、首長(知事や市町村長)の負担を分散しつつ、部門の専門性を向上しながら最適な行政運営ができるようになります。

一方で、多くの人間が意思決定に関わることで、政策実行のスピード感が失われ首長の意図や思いが現場まで伝わりにくくなるといったデメリットもあります。

このため、肝入りの政策や優先課題に対しては、部局長に任せず、首長のリーダーシップのもとで迅速に進められる特別な部署を設置するケースがあります。これが直轄組織と言われるものです。

〇どのような部署が直轄組織なのか

直轄組織は、多くの場合、首長が選挙公約に定めた重点施策のほか、最近では新型コロナ対策やカーボンニュートラル、子育て支援といった世界的・国家的な重要テーマを取り扱うために設置されます。

そのため、就任時や有事の際に「この部署を直轄組織として新設します」と宣言する場合も多く、そこから直轄組織を判別できることが多いです。

直轄組織では、兵庫県の「新県政推進室」のように首長こだわりの名称を付ける場合もあれば、「知事政策局」や「市長公室」のように、多くの自治体で使われる名称を付け、その下に「カーボンニュートラル推進課」といった個別の小組織をぶら下げるケースがあることが特徴です。

〇直轄組織で働く職員はどのような人材なのか

ビジネスにおいて、相手組織のキーマンを押さえることは鉄則です。

直轄組織が重点施策を担う部署であることから、そこ配属される人材は若手からベテランに至るまで、組織内でも優秀と評価される職員であるケースが多く、数千・数万人規模の行政組織において押さえておくべきキーマンの目星を付けることにも繋げられそうです。

冒頭で紹介した兵庫県でも、直轄組織「新県政推進室」のメンバーが、行財政改革などの重要施策について司令塔の役割を担い、その後に庁内で重要なポストに就任していったそうです。

このことから、直轄組織に所属する職員との関係を構築することは、公共ビジネスに関わる事業者にとって重要と言えそうです。
 
なぜなら、直轄組織で重要施策や新たな課題に取り組む職員は、直轄組織から部署異動をした後も新天地でまた新たな施策に携わったり、新規事業を企画したりする場合が多いからです。

新しい事業が生まれるということは、新たに参入する機会が生まれるということにつながります。キーマンとなる職員の動向を追うことで、新たなビジネスチャンスを予測し、備えることができます。

〇直轄組織の注意点を押さえてビジネスチャンスを掴む

ここまで直轄組織とそこで働くキーマンとなる職員についてお話しましたが、選挙などで首長が交代すると前首長の直轄組織はあっさりと消える場合も多く、キーマンも交代する可能性があることに注意しなくてはいけません。

大切なのは、常に行政の動向を追いながら、変化に備え、その時のキーマンを押さえることでチャンスをものにしていく姿勢です。

当社では、官公庁への効果的なアプローチ方法について、伴走型の専門的なアドバイスを行っています。

「行政の考え方や政策の意図を知り、ビジネスに活用していきたい」「うちの強みを活かして公共ビジネスに参入する余地はあるのか」、「どういう風に官公庁や自治体と付き合っていけばよいのか」などのご相談がございましたら、ぜひ当社にご連絡ください。